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主人公「あいこちゃん」は、
雪が大好きな女の子。
雪が降るクリスマスを
毎年楽しみにしています。
だけど、今年はなかなか
雪が降らなくて・・・。

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すばらしい雪のある風景を
いつまでも残していきたい

みんなに伝えたい想いから
この絵本がうまれました。



制作概要

概要
一般財団法人冬季産業再生機構が100年後も子供達が楽しく豊かに雪を楽しめるよう、雪資源保全活動「SAVE THE SNOW PROJECTS」を通じて環境問題に取り組み、雪の語り部を育てていくためのプロジェクトの第1弾、「絵本プロジェクト ゆきゆきだいすき」を制作しました。

我々の想いにご賛同頂いた、大手出版社「小学館」から絵本を出版し、また、SUNTORY、PARCO、ジャニーズ事務所CI、SUZUKIなどの広告を手掛ける小杉幸一氏がアートディレクションを行いました。

絵本の中では、元モーグル日本代表で弊団体のアンバサダーでもある上村愛子氏が生み出したキャラクター「AIKOちゃん」が雪の美しさや雪資源の大切さを子供たちにわかりやすく伝えていきます。
構成
上村 愛子(絵)
八尾 良太郎(作)
小杉 幸一(デザイン)
藤森 由香(ストーリー/写真提供)
山中 康裕(データ監修)
中村 一樹(データ監修)
皆川 賢太郎(全体監修)
タイトル
ゆきゆきだいすき
発売日
2022年11月9日(水)
詳細
https://www.shogakukan.co.jp/books/09725203

雪の研究者からの報告

山中 康裕

北海道大学大学院
地球環境科学研究院 統合環境科学部門
実践・地球環境科学分野 教授

山中 康裕

中村 一樹

国立研究開発法人 防災科学技術研究所
雪氷防災研究センター
センター長

中村 一樹

「あいこちゃんのなんで?なんで?」の詳しい説明

  • なんで冬になると寒くなるの?

    絵本では、太陽の光が太陽の高度に依存して、地表を暖めることを説明しました。地球の動きと季節の関係をもう少し詳しく説明しましょう。
    太陽の高度(太陽を見上げる地平線からの角度)が低いと、地上が受け取る面積あたりの熱量が小さくなります。地球は、1日1回転する(夜と昼が生まれる)自転と、太陽を1年で1周する公転をしています。自転が公転に対して23.4度傾いているため、一日のうち最も高くなる正午頃の太陽の高度も、季節変化し、北緯35度の東京や大阪では、夏至(6月22日頃)で約78度、冬至(12月22日頃)で約32度となります。そのため、太陽から地面が受け取る熱量は、冬至のころ、夏至の頃に比べて約半分になり、冬は、昼間でも夏に比べて暖まらず、その結果、一日全体の気温も低くなります。南半球は、太陽が6月頃低くなり、冬となります。
    冬になると寒くなる理由

  • なんで寒くなると雪が降るの?

    寒くなると雪が降る理由絵本では、水の旅や山が寒いこと、雪の降り方が気温で変わることを説明しました。そのことをもう少し詳しく説明しましょう。
    水は、液体・気体(水蒸気)・固体(氷)と姿を変えながら(相変化しながら)、地上から空へ運ばれ、雲を作り、やがて雨や雪として地上に戻ります。冬山に雪が降り積もると、春の雪解けまで留まり、豊かな水資源として人々に利用されます。これらは、壮大な水の旅として水循環と呼ばれます。1km高くなることに、気温はおよそ6℃低くなるので、ふもとが晩秋や早春の雪が降らない時期でも、山では雪が降ることになります。空気が暖かいほど多くの水蒸気を含むことが出来るので、雨か雪かの境目ぐらいの気温で大雪が降ります。一度に降ると、ドカ雪など災害を引き起こします。厳寒の季節や地域では、降雪量は少ないもののパウダー・スノーとなる軽い雪が降ります。

  • なんで地球って暖かくなってきているの?

    絵本では、温室効果気体が大気中に増えており、それが地球温暖化を引き起こしていることを説明しました。そのことをもう少し詳しく説明しましょう。
    地域規模の気温は、地球温暖化が起こらなくても、上がったり下がったりして、暖冬や冷夏をもたらします。しかし、それらは何ヶ月も長続きはせず、世界全体で起こることはありません。1.1℃上昇はとても大きな気温上昇です。地球温暖化によって、猛暑や集中豪雨などの極端現象の頻度が増えてきています。世界中の科学者が研究成果を持ち寄り、取りまとめる組織、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が1989年に作られ、6回目の評価報告書が2021年から2022年に発表されています。2015年に地球温暖化を防ごうという国際的取り決めであるパリ協定が作られました。2050年に二酸化炭素排出をゼロに近づけ、1.5度上昇に抑えることを目標にしていますが、各国が表明したCO2排出量削減では不十分な状況です。

  • なんで地球が暖かくなると雪が減るの?

    絵本では、地球温暖化で雪が降ったり増えたりすることを説明しました。そのことをもう少し詳しく説明しましょう。
    何も対策をとらないときでも(世界平均気温が産業革命前に比べて4.3℃上昇)、今雪が多い地域での1月や2月の降雪量はさほど減らないのですが、雪が降る期間が2ヶ月間ほど短くなるため、最深積雪量は半減してしまいます。本州でも山岳から雪がなくなることはありませんが、現在積雪が少ないところほど影響が大きく、逆に北海道内陸部の大雪山では影響は小さくなります。世界平均気温が産業革命前に比べて1.5℃上昇にしたら、期間が数週間の減少、最深積雪量が数割減少に防ぐことができます。

  • さらに、なんで日本は大雪が降るの?

    このwebページを見た人のために、絵本には書けなかった「なんで日本は大雪が降るの?」を、おまけとして説明しましょう。
    日本付近では、冬によく見られる西高東低の気圧配置のもと、大陸からの寒気が、たくさんの水蒸気を日本海から蒸発させ日本列島に運び、日本海側に大雪を降らせるからです。世界の中でも、大陸からの寒気が吹き出した先に海面、さらに陸地がある地形はなく、日本は世界的珍しい豪雪地帯になっています。なお、日本付近を通過する低気圧によっても雪が降ります。
    より詳しく説明すると、北米ロッキー山脈、欧州スカンジナビア半島、南米アンデス山脈など大陸西岸で、発達した温帯低気圧に伴って雪が降る「低気圧型の降雪」、日本や米国五大湖で、大陸の寒気が水面上を吹き抜けるとき、水蒸気を得て陸地で雪が降る「季節風型の降雪」の2つがあります。青森市や札幌市はひと冬に600㎝前後の世界有数の降雪量があります。一方、日本より緯度が高い北米(ケベックシティ同303cm)や北欧(ストックホルム同153cm)の都市の年間の降雪量はそれほど多くありません。人口150万人を超える都市で年間降雪量が500㎝を超えているのは札幌だけです。
    日本で大雪が降る理由
    ※世界の積雪深の最大値分布(2000~2021年)
    提供:永井裕人(早稲田大学)

  • さらに、なんで南極と北極が寒くないといけないの?

    このwebページを見た人のために、絵本には書けなかった「なんで南極と北極が寒くないといけないの?」を、おまけとして説明しましょう。
    地球の気温は、太陽から受け取る熱と同じだけの熱を地球外に出すことで、保たれています。南極や北極は、雪や氷があることで、白くて太陽の光を反射して、受け取る熱を減らし、他の地域で余った熱を受け取って地球の外に逃がす役割を持っています。地球温暖化で、この雪や氷が溶けてしまうと、気温が上昇してしまいます。さらに、北極へ熱を運ぶ中緯度の気候にも影響を与えてしまいます。
    より詳しく説明すると、南極や北極の雪や氷が少し溶けると、太陽の光を反射せず、太陽から熱を余計に受け取ってしまい、気温がさらに上昇、さらに雪や氷が溶けてしまいます(アイスアルベド・フィードバックと呼ばれます)。特に北極は、他の地域に比べて、気温上昇が大きくなります。中緯度の温帯低気圧は、暖かな南風、冷たい北風は、低緯度から高緯度に熱を運ぶ役割を担っていますが、高緯度の気温が上昇してしまうと、その役割を担うことが出来ず、温帯低気圧の活動も変わってきてしまいます。


地球温暖化による雪への影響

地上気温が高くなれば、雪が雨に変わって降ります。寒い日もあればそうでない日もあるため、月平均気温で考えると、5℃から0℃ぐらいになると湿った重い雪が降ります。そのような季節や地域では、地球温暖化の影響で、これまで降っていた雪が雨に変わってしまいます。つまり、雪が全く降らなくなったり、雪が降る期間が短くなったりします。月平均気温が-5℃ぐらいに寒くなると、サラサラしたパウダースノーとなります。でも、冷たい空気に含まれる水蒸気はごく僅かなので、大雪になることはありません。そのような季節や地域では、地球温暖化の影響で、降雪量は逆に増えるとともに、湿った雪がドカっと降る回数が増えると考えられています。 


上の図は、東北地方の山形県新庄市の戦前から続く積雪深の観測結果です。1980年代後半から1990年代は積雪が少ない年が目立ちます。2010年以降は、1930年代から40年代と同じように、比較的積雪が多くなる年が続いています。一方、2019/10年の冬は記録的な小雪になりました。


右の図は、2015/16年から20/21年の6冬期に24時間に降る雪の量が過去最高となった気象庁アメダス観測地点です。記録更新地点は全国にまんべんなく分布し、60地点以上ありました。全国的に短時間に集中的に降るドカ雪の記録更新が目立っています。​

2010年以降は大雪の年が多くなっており、短時間に集中的に雪が降るケースも目立ちます。一方、記録的な小雪となる年もあり、今後、「降る雪」、「積もる雪」の質と量がどうなっていくのか注意深く見守っていく必要があります。

上の図は、2015/16年から20/21年の6冬期に24時間に降る雪の量が過去最高となった気象庁アメダス観測地点です。記録更新地点は全国にまんべんなく分布し、60地点以上ありました。全国的に短時間に集中的に降るドカ雪の記録更新が目立っています。​

2010年以降は大雪の年が多くなっており、短時間に集中的に雪が降るケースも目立ちます。一方、記録的な小雪となる年もあり、今後、「降る雪」、「積もる雪」の質と量がどうなっていくのか注意深く見守っていく必要があります。